地震に真っ向勝負で勝てるわけがない!
人間は太古の昔から地震にはおそれおののき、地震を鎮めるための儀式とかいろいろと頑張っていたらしいから、現代の技術でもそんなのに勝てるわけがない!
地震に対抗するには、気持ちで負けないことだ! 気持ちさえあればどうにかなる!
めっちゃコワイ!!! めっちゃコワイけどコワイからこそ頑張って勝てよオレオイ!!!
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○【人・生き方】転機。話そう、話しましょう(48)作家・清涼院流水さん○
■阪神大震災が突き付けた命のはかなさ マイナスがプラス輝かす
出版不況といいますが、ライトノベル(イラスト付き娯楽小説)の市場は、若者たちの支持を受けて活気があります。奇抜な発想とキャラクター性を際立たせたミステリー小説で、ライトノベル全盛時代への道を切りひらいた作家、清涼院流水(せいりょういんりゅうすい)さん(37)。作家デビューへと気持ちを奮い立たせたのは、故郷を襲った平成7年の阪神大震災でした。(海老沢類)
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歩き慣れた道なのに「やけに空が広いなあ」と思った。実家に近い国道の高架は崩落し、視界を遮(さえぎ)るものがない。屋根をブルーシートで覆った家が点在していて、コンクリートの残骸(ざんがい)が更地に集められていた。
◆「まるで平原」
平成7年1月17日早朝、甚大な被害を及ぼした阪神大震災発生からはや1カ月が過ぎていた。あの日、阪急電車の西宮北口駅(兵庫県西宮市)から実家へ向かう雑踏で目にした光景は、16年後の今もしっかり記憶に刻まれている、という。
「地平線まで見渡せる…まるで平原。信じていた世界がなくなるような底なしの不安を感じた」
当時は20歳の大学生で、京都の学生用マンションで1人暮らし。幸い地震直後に家族と連絡がつき、無事は確認できていた。ところが、鉄道の復旧を待ってたどり着くと、「もう以前の故郷ではなかった」。
変わり果てた街で過ごしていると、知人の訃報が耳に入ってくる。心を揺さぶったのは、「運命」という言葉を想起せざるを得ない数々のエピソードだった。
実家は全壊した。ただ、両親はその日にかぎって普段とは違う部屋で寝ていたため、なんとか逃げ出せたと聞かされた。
自分にも思い当たる節があった。京都の自室で突き上げるような振動に襲われた時は、机で小説を書いていた。「眠っていたら、無傷ではすまなかった」。高さ約1メートルの重い本棚が、なんの固定もされずに布団の真横に置かれ、支えるのに必死だったからだ。
「無事だった人はみんな偶然助かっている。思い知らされましたね。僕たちは生と死の境界線を歩いているんだな、と」
◆「人間賛歌」
幼少時から、誰も考えつかないことをやるのが喜びだった。学校でも授業はそっちのけ。得意の文章力を生かせる上に、一人で世界を構築できる小説の自由にひかれ、高校時代から作家を志した。進学した京大では綾辻行人(あやつじゆきと)さんら名だたるミステリー作家を輩出した推理小説研究会へ。機関誌への作品発表数を仲間と競う日々だったが、「結構ふらふらしてました。緊張感や切迫感はなくて…」。
阪神大震災は、そんな姿勢をがらりと変えさせた。〈何生き急いでるの?〉〈人生は長いのに〉…。友人の冷ややかな視線をよそに、寝る間を惜しんで小説を執筆。8年1月に完成した原稿用紙1400枚に上るミステリー小説『コズミック』が、講談社の第2回メフィスト賞を受賞した。
「世の中何が起きるか分からないのだから、一日でも早く自らの力で活路を開かないといけない。一日一日を大切に、そして必死に泥臭く…懸命さだけは誰にも負けなかったと思う」
実は、このデビュー作は当初、12の密室で12人が殺される設定だった。それを阪神大震災後、1200の密室で1200人が殺される話に変えている。もとの設定では「震災で感じた絶望を到底表現できない」と思ったからだ。「人の命を軽く扱っている」と批判する向きもあった。だが、無常観が色濃く漂う物語は、時代を背負う形になり、版を重ねていく。
「絶望が深ければ深いほど、それに立ち向かう人間のいとおしさや希望の尊さが見える。プラスのすばらしさを書くために、僕はあえて大きなマイナスを書く。だから、どの作品も人間賛歌なんです」
◆出版頓挫も…
デビューから15年で著作は約70冊に上る。異例の12カ月連続刊行を成し遂げた『パーフェクト・ワールド』シリーズや、見開きごとに事件が起きる仕掛けのミステリーなど、常識にとらわれない試みで読者を魅了し続ける。
最近、著者印税を全額寄付する東日本大震災チャリティー写文集の刊行が、出版社の都合で直前になって頓挫する「悔しい出来事」があったという。そんな時も、あの信念が心の支えになる。
「マイナスがあるからプラスが尊い」。出された結果は甘んじて受け止めた。するとしばらくして、自らがストーリーを担当する英語漫画の刊行話が別の出版社から舞い込んだ。「しかも3部作として。今後、より大きな規模でチャリティーができるかも」。早速めぐってきた“プラス”に、自然と顔がほころんだ。
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≪Plus≫
--ペンネームの由来は?
「高校生の時、澄んだ小川を見ながら『流れるまま生きられたらすてきだろうな』と思って『流水』に。それだけだと寂しいな、と思った時に、偶然手にしていたドリンクに『清涼飲料水』の文字…。すぐに『これだ!』と」
--英語が趣味で、TOEIC900点を突破したと?
「高校時代は英語は大の苦手。大学も論文受験でしたから。それが30歳を過ぎたころ、書店で英語参考書を見て『懐かしいな』と勉強を始めたら、強制されないから面白い(笑)」
--自作を英訳できそうですね?
「マイケル・ジャクソンの人生を描いた『キング・イン・ザ・ミラー』は自分で英語版を完成させたところです。公式サイトで英語漫画を連載してますが、英語圏はマーケットがけた違いに大きいので、反応があったときの快感は日本語で発信する比ではないです」
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【プロフィル】清涼院流水
せいりょういん・りゅうすい 昭和49年、兵庫県生まれ。京大経済学部在学中の平成8年にデビュー。ミステリー小説に加え、ビジネス書、自己啓発書なども執筆。趣味で始めたという英語学習についての雑誌連載も手がけ、21年にはカナダ人漫画家と合同公式サイト「bbbcircle」を開設した。主な著書に『成功学キャラ教授』(講談社)、『コズミック・ゼロ』(文芸春秋)、『キング・イン・ザ・ミラー』、『清涼院流水の小説作法』(ともにPHPエディターズ・グループ)。
(この記事は社会(産経新聞)から引用させて頂きました)